睡眠薬一覧 薬効ごとのまとめ

P4)睡眠薬診療ガイドライン
【薬物療法補足】
依存形成リスクが低いことが臨床試験で示されている非ベンゾジアゼピン系睡眠薬, メラトニン受容体作動薬, オレキシン受容体拮抗薬などが主要な第一選択薬となると思われる

P8)バルビツール酸系
作用機序
脳の大脳皮質や脳幹に作用して、脳の覚醒を抑えることで、眠気や鎮静作用を示す。

特徴
呼吸抑制や依存性に問題があり、睡眠薬としての投与は勧められない。睡眠薬としては、依存や耐性などの懸念がより少ないBZD系薬や非BZD系薬などが主流になっている。
短時間型:ラボナ。
中間型:イソミタール。

P9)バルビツール酸系:ペントバルビタールカルシウム・セコバルビタールナトリウム・アモバルビタール
ラボナ
短時間型バルビツール酸系睡眠薬。錠剤。
慢性的な不眠の改善に使われる睡眠薬としては、本剤より依存や耐性などの懸念がより少ないBZD系睡眠薬や非BZD系睡眠薬などが主流になっている。

アイオナール・ナトリウム
短時間型バルビツール酸系睡眠薬。注射剤。
慢性的な不眠の改善に使われる睡眠薬としては、本剤より依存や耐性などの懸念がより少ないBZD系睡眠薬や非BZD系睡眠薬などが主流になっている。
【適応】不眠症、麻酔前投薬、全身麻酔の導入、不安・緊張状態の鎮静。

イソミタール
中間型バルビツール酸系睡眠薬。粉末剤。
慢性的な不眠の改善に使われる睡眠薬としては、本剤より依存や耐性などの懸念がより少ないBZD系睡眠薬や非BZD系睡眠薬などが主流になっている。

P10)ベンゾジアゼピン系(超短時間型)
特徴
半減期:2〜4h。入眠障害に適する。
夜間覚醒の追加投与でも比較的安全なため、一過性不眠に適する。

力価
超短時間型の効果の強さ:ハルシオン>アモバン>マイスリー≧ルネスタ。
ハルシオン0.25mg=アモバン7.5mg=マイスリー10mg=ルネスタ2.5mg。

注意点
夢中遊行症や服薬後の朦朧状態、中断による反跳性不眠で中止が困難となる場合があり、注意が必要。

P11)ベンゾジアゼピン系(超短時間型):トリアゾラム
超短時間型。ピーク時間:1.2h。半減期:2.9h。
服薬後早期に催眠作用が出現するため、入眠困難を訴える不眠症には効果的である。
効果が強いかわりに依存性が強いため、要注意。本剤の服用後に、もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)があらわれることがある。また、入眠までの、あるいは中途覚醒時の出来事を記憶していないことがあるので注意する。
【禁忌】急性閉塞隅角緑内障・重症筋無力症。
投薬期間30日まで(2020年12月時点)

P12)ベンゾジアゼピン系(短時間型)
特徴
半減期:6〜10h。入眠障害、夜間覚醒時の頓用使用に良いが、依存性がつきやすく、離脱症状が出現しやすい。
デパスは、睡眠薬ではなく、抗不安薬として用いられることがほとんど。

力価
短時間型の効果の強さ:レンドルミン≧デパス≒エバミール/ロラメット>リスミー。
レンドルミン0.25mg=デパス1.5mg=ロラメット1mg=リスミー2mg。

P13)BZD系(短時間型):ロルメタゼパム・ブロチゾラム・リルマザホン塩酸塩
ロルメタゼパム
短時間型。ピーク時間:1.5h。半減期:10h。
服薬後早期に催眠作用が出現するため、入眠困難を訴える不眠症には効果的である。
CYPで代謝されないため、肝疾患や高齢者でも使いやすく、相互作用の心配が少ない。
【禁忌】急性閉塞隅角緑内障・重症筋無力症。
投薬期間30日まで(2020年12月時点)

ブロチゾラム
短時間型。ピーク時間:1.5h。半減期:7h。
服薬後早期に催眠作用が出現するため、入眠困難を訴える不眠症には効果的である。
【禁忌】急性閉塞隅角緑内障・重症筋無力症。
投薬期間30日まで(2020年12月時点)

リルマザホン塩酸塩
短時間型。ピーク時間:3h。半減期:10.5h。
服薬後早期に催眠作用が出現するため、入眠困難を訴える不眠症には効果的である。
【禁忌】急性閉塞隅角緑内障・重症筋無力症。

P14)ベンゾジアゼピン系(中間型)
特徴
半減期:12〜24h。中途覚醒や、早期覚醒に適する。

副作用
連用による蓄積があり、日中の抗不安作用が期待できるものの、持ち越し効果に注意する。

力価
中間型の効果の強さ:サイレース>ベンザリン>ユーロジン。
サイレース1mg=ベンザリン5mg=ユーロジン2mg。

P15)BZD系(中間型):エスタゾラム・フルニトラゼパム・ニトラゼパム
エスタゾラム
"中間型。ピーク時間:1.5h。半減期:7h。
分類上は中間型だが、ピーク時間・半減期の観点では、実質的には短時間型。"
"中途覚醒、早朝覚醒の不眠に有効である。
中間型の効果の強さ:サイレース>ベンザリン>ユーロジン。"
【禁忌】重症筋無力症。
投薬期間30日まで(2020年12月時点)

フルニトラゼパム
"中間型。ピーク時間:1.5h。半減期:7h。
分類上は中間型だが、ピーク時間・半減期の観点では、実質的には短時間型。"
"中途覚醒、早朝覚醒の不眠に有効である。
中間型の効果の強さ:サイレース>ベンザリン>ユーロジン。"
注射投与中は患者の呼吸や循環動態を観察する。救急蘇生剤やフルマゼニルを準備しておく。
【禁忌】急性閉塞隅角緑内障・重症筋無力症。
投薬期間30日まで(2020年12月時点)

ニトラゼパム
中間型。ピーク時間:2h。半減期:27h。
"中途覚醒、早朝覚醒の不眠に有効である。
中間型の効果の強さ:サイレース>ベンザリン>ユーロジン"
異型小発作群、焦点性発作等のてんかん発作に効果が認められている。
【禁忌】急性閉塞隅角緑内障・重症筋無力症。
投薬期間90日まで(2020年12月時点)

P16)ベンゾジアゼピン系(長時間型)
特徴
半減期:24h以上。早期覚醒によく、日中の抗不安作用も強く示すため、神経症性不眠に良い。

副作用
翌朝の持ち越し効果や、日中の精神運動機能、注意・集中力の低下への影響が出現しやすい。
ドラールは半減期が32hと長く、反跳性不眠が少ないため長期の頑固な不眠や、睡眠薬からの離脱に利用するが、持ち越し効果に注意する。

力価
長時間型の効果の強さ:ドラール>ベノジール/ダルメート≒ソメリン。
ドラール15mg=ダルメート15mg=ソメリン5mg。

P17)BZD系(長時間型):クアゼパム・フルラゼパム・ハロキサゾラム
長時間型。ピーク時間:3.5h。半減期:36.6h。
熟眠障害、中途覚醒、早朝覚醒に有効である。ω1受容体への選択性があり、筋弛緩作用が弱く、ふらつきや転倒などのリスクが少ない。
【禁忌】急性閉塞隅角緑内障・重症筋無力症・睡眠時無呼吸症候群。
食事により吸収が増大するため、食後の服用を避ける。
投薬期間30日まで(2020年12月時点)

フルラゼパム塩酸塩
長時間型。ピーク時間:4.5h。半減期:23.6h。
熟眠障害、中途覚醒、早朝覚醒に有効である。
【禁忌】急性閉塞隅角緑内障・重症筋無力症。

ハロキサゾラム
長時間型。ピーク時間:5h。半減期:42h以上。
熟眠障害、中途覚醒、早朝覚醒に有効である。
【禁忌】急性閉塞隅角緑内障・重症筋無力症

P18)非ベンゾジアゼピン系
作用機序
非BZD系薬は、BZD系薬と化学構造が異なるが、同様にBZD受容体に作用する。

特徴
筋弛緩作用と関連するω2受容体には作用せず、ω1受容体に選択的に作用することから、筋弛緩性が少なく、安全性においてBZD系薬よりも優る。

力価
超短時間型の効果の強さ:ハルシオン>アモバン>マイスリー≧ルネスタ。
ハルシオン0.25mg=アモバン7.5mg=マイスリー10mg=ルネスタ2.5mg。

P19)非ベンゾジアゼピン系:ゾピクロン・ゾルピデム・エスゾピクロン
ゾピクロン
超短時間型。ピーク時間:0.8h。半減期:2h。
服薬後早期に催眠作用が出現するため、入眠困難を訴える不眠症には効果的である。
半減期の長さ:ルネスタ(5h)>マイスリー(3.8h)>アモバン(2h)
薬の苦味が唾液に残る場合がある。
投薬期間30日まで(2020年12月時点)

ゾルピデム酒石酸塩
超短時間型。ピーク時間:1h。半減期:3.8h。
服薬後早期に催眠作用が出現するため、入眠困難を訴える不眠症には効果的である。
半減期の長さ:ルネスタ(5h)>マイスリー(3.8h)>アモバン(2h)
非BZD系睡眠薬の中では、最もω1(催眠に対する受容体)への選択性が高いので、副作用がより少ないと言われている。ただし、奇異反応は時々起きるので注意。
中途覚醒に対する有効性は報告なし。

エスゾピクロン
超短時間型。ピーク時間:1h。半減期:5h。
服薬後早期に催眠作用が出現するため、入眠困難を訴える不眠症には効果的である。
半減期の長さ:ルネスタ(5h)>マイスリー(3.8h)>アモバン(2h)。ルネスタは超短時間作用型の中では半減期が長く、不眠症の主症状である入眠障害と中途覚醒のいずれにも有効。3mgで中途覚醒時間の有意な短縮あり(高齢者では2mg)。
薬の苦味が唾液に残る場合がある(アモバンよりは苦味が少なめとされる)。
血中濃度が低下するため、食事中・食直後の服用は避ける。

P20)メラトニン受容体作動薬
作用機序
メラトニン受容体刺激により、自然に近い生理的睡眠を誘導することで、不眠症における入眠困難などを改善する。

特徴
BZD受容体に作用しないため、筋弛緩作用や記憶障害、依存性がないため安全性が高い。
効果は若干弱く、強い不眠には向かない。高齢者や睡眠相のずれを治す際に有効。

P21)メラトニン受容体作動薬:ラメルテオン・メラトニン
ラメルテオン
"国内初のメラトニン受容体作動薬。ピーク時間:0.75h。半減期:0.94h。
入眠困難:1回8mgを就寝前に投与。
昼夜逆転:1回1-4mgを夕方に投与(1回8mgではリズム改善効果が減弱する)。"
即効的な強力な作用がない反面、BZD系にみられるふらつきや記憶障害の副作用が少なく、また中止後の不眠症状の悪化(反跳性不眠)や、離脱症状(退薬徴候)を起こす可能性は低い。抗不安作用なし。
効果に時間がかかることも多く、2~4週間ほど使い続けていくうちに効果が認められることがある。効果発現前に中断が多い。
血中濃度が低下するため、食事中・食直後の服用は避ける。
【併用禁忌】フルボキサミン(強迫性障害などに使用される薬剤。併用でロゼレムの血中濃度が28倍に増加し、作用が強く現れるおそれがあるため)。

メラトニン
【適応】小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善(ロゼレムは成人にのみ承認)。
メラトニンホルモンと同じ化学構造式を持つ。
【併用禁忌】フルボキサミン(小児期の強迫性障害などに使用される薬剤。併用で本剤の血中濃度が上昇し、作用が強く現れるおそれがあるため)。
小児に対し、1日1回1mg就寝前に服用。1日1回4mgを超えないこと。食後の服用で効果が下がるため、空腹時の服用が重要。

P22)オレキシン受容体拮抗薬
作用機序
脳の覚醒を促進するオレキシンの受容体を阻害することで、脳を睡眠状態へ移行させ睡眠障害を改善する。

各薬剤の特徴
ベルソムラは中途覚醒や早期覚醒に効果があるが、悪夢が見られることがある。
デエビゴはオレキシン2受容体阻害が強く、効果発現が速いため、入眠困難にも効果が期待される。

P23)オレキシン受容体拮抗薬:スボレキサント・レンボレキサント
スボレキサント
国内初のオレキシン受容体拮抗薬。ピーク時間:1.5h。半減期:10h。デエビゴより半減期が短い。
"【副作用】眠気が残る・傾眠(4.7%)・悪夢(1.2%)。
他の睡眠剤と比較し悪夢の副作用が多い。レム睡眠の増加によると考えられている。"
吸湿性が悪いために、一包化できない(デエビゴは一包化できる)。シートでの保管必須。
高齢者用量がある(デエビゴはない)。

レンボレキサント
ベルソムラに続く国内2剤目のオレキシン受容体拮抗薬。ピーク時間:1.55h。半減期:31.5h。ベルソムラより半減期が長い。
ベルソムラと比較して、肝腎機能への影響がやや多い(中等度肝障害に投与する場合は1日1回5mgを超えない・重度肝障害には禁忌)。ベルソムラは、重度肝機能障害の場合のみ慎重投与
ゾルピデムERと比較して、入眠効果と睡眠維持効果が有意に改善した(ゾルピデムERは徐放製剤で国内では未承認、用量は6.25mg、日本人は含まない)。ベルソムラとの比較試験はない(2021年2月現在)。
"ベルソムラと異なり、錠剤として安定性が確認されているので、一包化可能。
高齢者用量がない(ベルソムラはある)。"
ベルソムラを使用しても入眠困難が持続する場合や、BZD系薬長期使用患者のお薬を変更する場合に、効果をもたらす可能性が高い。