前立腺癌治療薬:薬効ごとのまとめ

P4)前立腺癌 治療アルゴリズム
副作用等の問題からエストロゲン薬の使用は、控えられるようになっている。
今回のスライドでは、ホルモン療法・化学療法・去勢抵抗性前立腺癌への治療薬・骨転移治療について触れていきます。

P5)前立腺癌 ホルモン療法
前立腺癌におけるホルモン療法は、アンドロゲンの作用を抑制することの総称で、アンドロゲン遮断療法(ADT)とも呼ばれる。

LH-RHアゴニスト/LH-RHアンタゴニスト
下垂体からのLH(性腺刺激ホルモン)分泌を抑制し、精巣からのテストステロン分泌を抑制することで、前立腺癌を縮小せる。

抗アンドロゲン薬
前立腺細胞においてアンドロゲンのアンドロゲン受容体への結合を阻害することで前立腺癌の進行を抑える。

P6)前立腺癌 ホルモン療法
CAB療法(MAB療法)
アンドロゲンの作用を最大限に遮断する目的で、外科的去勢(精巣摘出術)や内科的去勢(LH-RHアゴニスト/アンタゴニスト)と、抗アンドロゲン薬を併用することがある。
CAB(Combined androgen blockade)療法という。HP周り改修

CAB療法は去勢単独両方と比較して有効性が高く、有害事象・QOL・経済性も同等ないし許容範囲内であるため、本法では標準治療の1つとして推奨されている。ただし、転移性前立腺癌におけるCAB療法の優位性は明確には立証されていない。

P7)LH-RHアゴニスト:リュープロレリン・ゴセレリン
作用機序
ゴナドトロピン分泌を抑制し、卵巣から女性ホルモン分泌や精巣からの男性ホルモン分泌を抑制する。

リュープリン
リュープリン:効果が1ヶ月持続するLH-RH誘導体。
リュープリンSR:効果が3ヶ月持続するLH-RH誘導体。
リュープリンPRO :効果が半年持続するLH-RH誘導体。

リュープロレリン
効果が1ヶ月持続するLH-RH誘導体。
4週に1回の投与で子宮内膜症、子宮筋腫、閉経前乳癌(3.75mg製剤のみ)、前立腺癌(3.75mg製剤のみ)、中枢性思春期早発症に対して効果を示す。
キットは、投与量の調節が不可能なため、1回当たり全量投与が必要な患者のみ。

ゴセレリン
ゴナドトロピン分泌を抑制し、卵巣から女性ホルモン分泌や精巣からの男性ホルモン分泌を抑制する。
【適応】子宮内膜症、前立腺癌、閉経前乳癌。皮下注。
【副作用】のぼせ・ほてり(68%)、肩こり(27%)、頭痛(16%)など。

P8)LH-RHアンタゴニスト:デガレリクス
作用機序
GnRH受容体に結合し、ゴナドトロピン分泌を抑制し、男性ホルモン分泌を速やかに低下させる。

ゴナックス
ゴナックスは、前立腺癌治療薬では初となる、GnRHアンタゴニスト。これまでの製剤と違い、あらかじめ抗アンドロゲン薬を飲む必要がないので、すばやい効果を期待できる。

GnRH受容体に結合し、ゴナドトロピン分泌を抑制し、男性ホルモン分泌を速やかに低下させる。前立腺癌に適応をもつGnRHアンタゴニストは、本薬が日本初。
【適応】前立腺癌。4週間隔(場合によっては12週間隔)で皮下注射。
前立腺癌患者を対象としたゴナックスの国内第2相臨床試験では、有効性と安全性の面で、リュープロレリンの海外第3相比較試験と類似性のあるデータが得られている。

P9)抗アンドロゲン薬:フルタミド・ビカルタミド
作用機序
前立腺細胞においてアンドロゲンのアンドロゲン受容体への結合を阻害し、抗腫瘍作用をあらわす。
去勢抵抗性前立腺癌
内分泌療法に奏功しなくなった転移のない、去勢抵抗性前立腺癌:ニュベクオ、アーリーダが無転移期間を延長する。
転移性去勢抵抗性前立腺癌:イクスタンジが生存期間を延長する。

フルタミド
【適応】前立腺癌。
重篤な肝障害→食欲不振、悪心・嘔吐、倦怠感、掻痒、横断などの初期症状を予め患者に越名。発現時直ちに受信する様指導。肝機能を少なくとも1ヶ月に1回検査。
本剤の投与により尿が琥珀色又は黄緑色を呈することがある。

ビカルタミド
【適応】前立腺癌。
重篤な肝障害の発現率は同類薬のオダインに比べ低い。
長期間継続すると、徐々にホルモン療法に抵抗性を示す癌細胞が増え、治療効果が消失してしまう。

P10)前立腺癌 去勢抵抗性前立腺癌
去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)
ホルモン療法が効かなくなった前立腺癌
初回ホルモン療法を続けていくうちに、前立腺癌細胞は性質を次第に変化させ、去勢状態でも生き延びる力を獲得していくようになり、結果として初回ホルモン療法が効きにくい癌細胞が癌化してCRPCになると考えられている。

治療薬
従来の標準治療薬:ドセタキセル(タキサン系抗がん剤)
新薬
抗アンドロゲン薬(アビラテロン・エンザルミド・アパルタミド・ダロルタミド)
カバジタキセル(タキサン系抗がん剤)

P11)タキサン系:ドセタキセル
転移性去勢抵抗性前立腺癌に対する治療としてドセタキセルは70〜75mg/m2の3週毎+プレドニゾロン10mg の連日併用投与が推奨される。

ドセタキセル(DTX、DOC)製剤。
【適応】乳癌、非小細胞肺癌(CDDP+DTX療法)、前立腺癌(DTX+PSL療法)、胃癌、食道癌など。
多くの固形癌での標準治療薬。微小管蛋白重合促進作用により抗腫瘍効果を発揮する。
末梢性浮腫(下腿浮腫など)・体腔液貯留が特徴的な副作用で、予防のためにステロイド(デキサメタゾン)の予防投与を併用する。
添付溶解液にエタノールが含有しているため、アルコール過敏の体質をもつ場合は注意が必要。血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊死をもたらす。

P12)タキサン系:カバジタキセル
DTXによる化学療法歴を有する去勢抵抗性前立腺癌に有効。
【適応】前立腺癌。
チューブリン重合を促進し微小管を安定化することによって細胞分裂を阻害し、細胞死を誘発して腫瘍増殖を抑制する。
尿量減少・無尿、血便、黒色便発現時注意する。

P13)抗アンドロゲン薬:アビラテロン・エンザルタミド
アビラテロン酢酸エステル
CYP17阻害作用により、精巣のみならず、副腎や前立腺がん組織内におけるアンドロゲンの生合成自体を抑制する。
【適応】去勢抵抗性前立腺癌。
プレドニゾロンと併用される。
投与前に血清K、投与中に肝機能を検査する。スピロノラクトン併用時PSA値上昇する。
食事の影響を受けるので空腹時に服用する。

エンザルタミド
【適応】去勢抵抗性前立腺癌・遠隔転移を有する前立腺癌。
1日1回経口投与。

P14)抗アンドロゲン薬:アパルタミド・ダロルタミド
アパルタミド
【適応】遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌・遠隔転移を有する前立腺癌。
1日1回経口投与。
痙攣、胸痛、皮膚紅斑発現時注意。

ダロルタミド
【適応】「遠隔転移を有しない」去勢抵抗性前立腺癌。
CYPとの相互作用があまりないことから、イクスタンジ、アーリーダと比較して併用注意の薬剤は少ない。
1日2回経口投与。

P16)放射線医薬品:ゾーフィゴ
骨転移を有するCRPCに対して有効性が確認された、世界初のα線放出放射性医薬品。ラジウム-223から放出されるα線が骨転移のがん細胞の増殖を抑える。
【適応】骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌。
投与中及び投与後6ヵ月間は、適切な避妊を行うように患者に指導する。
化学療法未治療で、無・軽度症候性骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に、本剤とアビラテロン及びプレドニゾロンの併用は推奨されない。