パーキンソン病治療薬 〜2018年ガイドラインの変更ポイント・薬効まとめ〜

P5)早期パーキンソン病(PD)治療薬アルゴリズム
ガイドライン2018における早期PD治療のアルゴリズムは基本的にはガイドライン2011と同様だが
・L-ドパがより中心に位置付けられた
・運動合併症の発現リスクに基づいて治療を選択する
流れになった。

P6)wearing offを呈する進行期PDの治療アルゴリズム
従来のアルゴリズムでは、ジスキネジアの有無で治療選択が分かれていたが、2018ガイドラインではジスキネジアについては、wearing offとは別に治療方針が示された。

P8)レボドパ含有製剤:ドパストン
作用機序
レボドバは脳内に移行し、ドパミンへ変化して脳内のドパミン量を増やして、パーキンソン病における手足の震えや筋肉のこわばりなどを改善する薬。

特徴
レボドパ脱炭酸酵素阻害薬との合剤(メネシット、マドパーなど)で用いられることがほとんど。
長期投与により、症状の日内変動(wearing off現象、on-off現象)、ジスキネジア、精神症状などを起こす問題がある。

ドパミン前駆物質。脳内に移行しドパミンへ変化し、パーキンソン病における手足の震えや筋肉のこわばりなどを改善する。
手術などで絶食が必要な場合、経管投与ができない場合に使用する。
25mg~50㎎/日を一日1~2回緩徐に静注もしくは少量の生理食塩水もしくはブドウ糖注射液などに希釈して投与する。
ガイドラインではL-Dopa/DCI配合剤(マドパー)100mgにつき50~100㎎程度を1~2時間かけて点滴投与と記載あり。

P9)レボドパ含有製剤:メネシット・スタレボ
メネシット
レボドパ・カルビドパ(10:1)配合。レポドパの代謝を抑える薬(カルビドパ)を併用することで、脳内のドパミンを効率よく補充する。筋強剛や安静時振戦を改善する。
投与量が多いと不随意運動(ジスキネジア)が出現する。服用期間が長くなると2時間程度で効果が切れるWearing-off現象が起きうる。Wearing-offが出現した場合は投与量や投与回数の調整、COMT阻害薬の併用やスタレボなどの合剤への変更を検討する。
認知症がある症例ではレボドパ製剤からの治療開始が望ましい。認知症がなくともおよそ70歳以上の高齢者であればジスキネジアの頻度が減少するので治療の第一選択となる。
"ネオドパストン配合錠L100、メネシット配合錠100:レボドパ100mg、カルビドパ10mg。
ネオドパストン配合錠L250、メネシット配合錠250:レボドパ100mg、カルビドパ25mg。"
マドパーよりメネシットの方が、スタレボへの移行がしやすい。スタレボの適応は、メネシット治療中のwearing offに対してであり、レボドパ・ベンセラジド配合剤(マドパー/イーシードパール)からの変更には推奨されていない。

スタレボ
レボドパ・カルビドパに加え、COMT阻害薬のエンタカポンを配合した製剤。
レボドパ・カルビドパ(メネシット)投与で症状の日内変動(wearing off現象)が認められるパーキンソン病のみに適応が限定されている。
"配合錠L50:レボドパ50mg、カルビドパ5mg、エンタカポン100mg。
配合錠L100:レボドパ100mg、カルビドパ10mg、エンタカポン100mg。"
自殺傾向を伴ううつ病や重篤な反社会的行動を発現することがあるので、患者の精神状態には注意。
既存治療からの切り替え時、LやEの1回用量は既存治療の用量と一致させる。また、E未使用例では、ジスキネジア等発現しやすいので十分観察する。

P10)レボドパ含有製剤:マドパー・デュオドーパ配合経腸用
マドパー
レボドパ・ベンセラジド(4:1)配合。レポドパの代謝を抑える薬(ベンセラジド)を併用することで、脳内のドパミンを効率よく補充する。筋強剛や安静時振戦を改善する。
レボドパ100mg、ベンセラジド25mg。レボドパ血中濃度はレボドパ・カルビドパ配合剤(メネシット)よりも高くなる。
メネシットより、末梢ドパミンの副作用である、吐き気・動悸が少ない。メネシットで副作用が懸念される場合の選択肢の1つ。
マドパーよりメネシットの方が、スタレボへの移行がしやすい。スタレボの適応は、メネシット治療中のwearing offに対してであり、レボドパ・ベンセラジド配合剤(マドパー/イーシードパール)からの変更には推奨されていない。
代謝物により尿の色が濃くなる。

デュオドーパ配合経腸用
レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)にのみ適応が限定されている。
胃瘻から長いチューブの先端を直接小腸内に留置し、専用ポンプで切れ目なく投与するため安定した血中濃度や安定した吸収が得られやすい。装着は日中のみで最大16時間できる。
チューブ等関連消化管事象、胃瘻造設関連合併症に注意する。

P12)COMT阻害薬:コムタン・オンジェンティス
作用機序
レボドパの末梢での分解を抑制し、中枢への移行率を高める。

特徴
単剤では抗パーキンソン効果なし。
レボドパによる症状の日内変動のある症例に有効である。

コムタン
Wearing-off を呈するパーキンソン病患者において、レボドパの効果持続時間を延長させる。
投与量100mgと200mgを比較しても効果に大きな差はない。国内のランダム化比較試験では平均1.4時間のオン時間の延長が報告されている。
本剤の成分(エンタカポン)とレボドパ製剤の配合剤(スタレボ配合錠)がある。
服用中に尿が着色(暗い黄色もしくは赤みがかった茶色)する場合がある。

オンジェンティス
長時間作用型のCOMT阻害薬で、1日1回の投与で良い(コムタンは1日複数回)。
起立性低血圧によるめまい、ふらつき、転倒に注意する。
エンタカポンと比較し非劣性である(BIA-91067-301試験)。

P14)レボドパ作用増強薬:トレリーフ
作用機序
ドパミン合成の亢進、MAO阻害など多岐の作用機序により、脳内のドパミン作用を増強する。

特徴
ゾニサミドは、元々抗てんかん薬として使用されていた薬剤だが、抗てんかん作用を示す量よりはるかに少量で、パーキンソン病に効果があることが明らかになっている。

早期のパーキンソン病の日内変動やジスキネジアの発症を抑制できる。(抗てんかん薬としての使用はエクセグランを参照のこと)
パーキンソン病に影響を与えうる機序は不明である。適応はレボドパ内服中のパーキンソン病の運動症状の改善目的である。レビー小体型認知症に伴うパーキンニズムに対しても適応を有する(レボドパとの併用必須)。
妊婦には禁忌である。
25mg/日分1とする。Wearing-Offには50㎎分1とする。
発汗減少により体温が上昇することがあるため、炎天下での運動や高温環境での仕事は控える。

P16)ドパミン放出促進剤:シンメトレル
もともとA型インフルエンザ感染症に適応があったが、パーキンソン症候群にも効果が認められた薬剤。
パーキンソン症候群には、黒質ニューロンからのドパミン放出の促進と再取り込みの阻害で効果を発現する。A型インフルエンザ感染症にはM2蛋白に結合しウイルスの脱殻を抑えて増殖させない効果を持つ。脳梗塞後の意欲低下には何らかのノルアドレナリン・セロトニン作用を持つと言われている。
妊婦および透析を含めた腎機能低下の症例には禁忌である。
"パーキンソン症候群:初期量100㎎分1~2で、1週間後に維持量200mg分2とする。症状に応じて300mg分3まで可。
脳梗塞後遺症:100㎎~150㎎分2~3とする。
A型インフルエンザ:100㎎分1~2とする。"
自殺傾向患者には最小限の処方日数とする。

P18)ノルアドレナリン補充薬:ドプス
作用機序
脳内で不足しているノルアドレナリンを補うことで、すくみ足や立ちくらみなどの症状を改善する。

特徴
慢性のすくみ足や、起立性低血圧に有効。起立性低血圧を伴う血液透析患者などにも使用する。

パーキンソン病などにおけるすくみ足・無動や起立性低血圧に使用する。
ノルアドレナリン作動性と言われているが詳細の機序は不明である。パーキンソン病YahrⅢのすくみ足、シャイドレーガー症候群、家族性アミロイドポリニューロパチーでの起立性低血圧、透析患者の起立性低血圧に適応がある。
閉塞隅角緑内障、コカイン中毒、妊婦、糖尿病性壊疽などの末梢血管病変のある透析患者には禁忌。併用禁忌はイソプレナリン等のカテコールアミン製剤やハロタンなど。
"パーキンソン病関連:100㎎分1から開始し隔日で100㎎ずつ漸増可。通常維持量は600㎎分3、最大量は900㎎分3。
起立性低血圧:200~300㎎分2~3で開始し隔日で100㎎ずつ漸増可。通常維持量は300~600㎎分3、最大量は900㎎分3。
透析時の低血圧には200~400mg分1を透析開始30分~1時間に投与する。"
過度な昇圧とならないように、少量から開始すること。

P20)MAO-B阻害薬:エフピー
作用機序
脳内ドパミンの代謝を抑制する。単剤としても抗パーキンソン効果あり。(単剤適応はエフピーとアジレクトのみ)

特徴
エフピー、アジレクト、エクフィナはドパミン分解抑制作用を有しており、レボドパ含有製剤で十分な効果が得られない症例に、レボドパと併用で使用される。

注意点
抗うつ薬、オピオイド鎮痛薬との併用禁忌である。

ドパミンを代謝分解するモノアミン酸化酵素(MAOB)の働きを阻害する、アンフェタミンを骨格構造にもつ内服薬。
"早期のパーキンソン病で運動症状の改善、
レボドパの開始遅延効果、レボドパ増量
抑制効果がある(DATATOP試験より)"
進行期のパーキンソン病でも運動症状改善効果がある。Wearing-off、end of dose akinesia、early morning dystoniaを改善し、レボドパ平均作用時間の延長効果、オフ時の症状改善効果がある。
単独療法での安全性は高く、レボドパとの併用療法ではレボドパの効果を増強するためレボドパの副作用発現頻度は増加する。
セロトニン症候群を引き起こす可能性があるため三環系抗うつ薬とは併用禁忌である。非選択的MAO阻害による危険性があるため、1日10㎎を超えないようにする。また、他のMAO-B阻害薬への切り替え時は2週間の休薬が必要である。

P21)MAO-B阻害薬:アジレクト・エクフィナ
アジレクト
ドパミンを代謝分解するモノアミン酸化酵素(MAOB)の働きを非可逆的に阻害する内服薬。
セレギリン(エフピー)に比較すると5~10倍のMAOB阻害効果がある。非可逆的に作用するため最高40日まで効果が持続する。
早期のパーキンソン病で運動症状の改善、レボドパの開始遅延効果、レボドパ増量抑制効果がある(TEMPO試験、ADAGIO試験より)
進行期のパーキンソン病におけるオフ時間の短縮、運動症状改善効果がある。ジスキネジアの悪化は起こりうるがエンタカポン併用時と差はなかった(PREST試験、LARGO試験より)
肝代謝(CYP1A2)を受けるため、シプロキサシンなどのCYP1A2を抑制する薬剤との併用や肝障害のある症例には注意が必要である。また、他のMAO-B阻害薬への切り替え時は2週間の旧薬が必要である。

エクフィナ
ドパミンを代謝分解するモノアミン参加酵素(MAO-B)の働きを可逆的に阻害する内服薬。他のMAO-B阻害薬と異なり、パーキンソン病におけるwearing offに適応が限定されている。進行期でありレボドパとの併用が必須。
従来のMAO-B阻害薬(エフピー・アジレクト)と異なり、MAO-Bを可逆的に阻害する。また、ナトリウムチャネル阻害作用を介したグルタミン酸放出抑制作用を併せ持つ。
Wearing-offを有する進行期のパーキンソン病において、オンの時間を延長できる(プラセボ群と比較し50㎎投与群は1.39時間、100㎎投与群は1.66時間(ME2125-3試験))end of dose akinesia、early morning dystoniaを改善し、レボドパ平均作用時間の延長効果、オフ時の症状改善効果がある。
他のMAO-B阻害薬と同様副作用に注意する。ジスキネジアや幻視が生じうる(3%以上)
他のMAO-B阻害薬と併用すると高血圧クリーゼやセロトニン症候群などを生じうるため併用禁忌かつ、MAO-B同士の変更も最低14日間の休薬が必要である。また三環系抗うつ薬やSSRIなどについても併用禁忌で切り替え時にもそれぞれ休薬期間が必要である。

P23)抗コリン薬:トリモール・アキネトン
作用機序
アセチルコリンの働きを抑えることで、脳内のドパミン作用を強め、パーキンソン病における手足の震えなどの症状を改善する。

注意点
眼の調節傷害発現の恐れがあるため、問診や定期的な検査を行う。原則として緑内障患者には使用しない。
抗コリンの副作用(口渇、便秘、眠気、排尿困難など)に注意。

トリモール
レボドパの作用を増強し、レボドパの使用量を軽減する。
線条体にあるコリン系の介在ニューロンがありドパミン受容体をもつシナプス後膜側の細胞の動きをムスカリンM1受容体を介して活性化する。パーキンソン症候群に適応がある。
閉塞性緑内障、重症筋無力症、前立腺肥大症など抗コリン作用で症状が悪化する疾患には禁忌である。
6~12mg分2(細粒は0.3~0.6g)分3毎食後に内服する。
使用時は定期的に隅角検査・眼圧検査を行う。眠気や視調節障害が起きる可能性があり運転などは控える。抗コリン作用による認知機能悪化がみられる場合があり、高齢者での使用は注意が必要である。

アキネトン
中枢神経において抗コリン作用を示し、パーキンソニズムを改善する。
線条体にあるコリン系の介在ニューロンがありドパミン受容体をもつシナプス後膜側の細胞の動きをムスカリンM1受容体を介して活性化する。パーキンソニズム(特発性、脳炎後や動脈硬化性、抗精神病薬など薬剤性)に適応がある。
閉塞性緑内障、重症筋無力症、前立腺肥大症など抗コリン作用で症状が悪化する疾患には禁忌である。
初期量2㎎分2で漸増し3~6㎎分割投与する。アキネトン2mg=アーテン4mg
使用時は定期的に隅角検査・眼圧検査を行う。眠気や視調節障害が起きる可能性があり運転などは控える。抗コリン作用による認知機能悪化がみられる場合があり、高齢者での使用は注意が必要である。

P24)抗コリン薬:アーテン・ペントナ
アーテン
中枢神経において抗コリン作用を示し、パーキンソニズムを改善する。
線条体にあるコリン系の介在ニューロンがありドパミン受容体をもつシナプス後膜側の細胞の動きをムスカリンM1受容体を介して活性化する。パーキンソニズム(特発性、脳炎後や動脈硬化性、抗精神病薬など薬剤性)に適応がある。
閉塞性緑内障、重症筋無力症、前立腺肥大症など抗コリン作用で症状が悪化する疾患には禁忌である。
"特発性、脳炎・動脈硬化性パーキンソニズム:初日1㎎、2日目2㎎、以後1日おきに2㎎ずつ漸増可、維持量6~10mg分3~4
抗精神病薬関連パーキンソニズム:2~10mg 分3~4とする。アキネトン2mg=アーテン4mg"
使用時は定期的に隅角検査・眼圧検査を行う。眠気や視調節障害が起きる可能性があり運転などは控える。抗コリン作用による認知機能悪化がみられる場合があり、高齢者での使用は注意が必要である。

ペントナ
中枢性抗コリン作用が強く、末梢性抗コリン作用は弱い。
線条体にあるコリン系の介在ニューロンがありドパミン受容体をもつシナプス後膜側の細胞の動きをムスカリンM1受容体を介して活性化する。向精神薬による薬剤性パーキンソン症候群に適応がある。
閉塞性緑内障、重症筋無力症、前立腺肥大症など抗コリン作用で症状が悪化する疾患には禁忌である。
12㎎分3とする。少量から開始が望ましい。
使用時は定期的に隅角検査・眼圧検査を行う。眠気や視調節障害が起きる可能性があり運転などは控える。抗コリン作用による認知機能悪化がみられる場合があり、高齢者での使用は注意が必要である。

P26)アデノシンA2A受容体拮抗薬:ノウリアスト
作用機序
脳内のアデノシンA2A受容体を阻害し、アデノシン(脳内の運動機能を低下させる物質)の作用を抑えることで、パーキンソン病における運動機能低下を改善する。

特徴
パーキンソン病におけるwearing off現象(一旦レボドパ製剤を服用しても次の服用時間の前にパーキンソン病の症状が出てしまう)を改善する。

パーキンソン病の進行期のオフの時間を短縮化し、オンの運動症状の改善させる。
大脳基底核のアデノシンA2A受容体に拮抗することで興奮していた神経が抑制されることで運動症状が改善する。レボドパとの併用が必須である。レボドパ使用中のパーキンソン病のWearing-offを改善する現象を改善する。
妊婦と重度の肝障害のある患者には禁忌である。
20㎎/日分1とする。最大40㎎/日までである。
頻度の高い副作用はジスキネジア、尿蛋白陽性、幻視・幻覚である。虚血性心疾患の既往がある患者の不整脈を悪化させる可能性がある。

P28)ドパミン受容体作動薬(麦角系)
作用機序
脳内のドパミン受容体を刺激し、パーキンソン病における手足の震えなどを改善する。化学構造の違いから、麦角系と非麦角系に分かれる。

特徴
麦角系は、非麦角系と比較して、心臓弁膜症、線維症の副作用報告が多いので、非麦角系の治療効果が不十分または忍容性に問題がある場合にのみ投与する。
ドパミンと類似した作用をもつ本剤の中には、乳汁漏出症や末端肥大症などに使用する薬剤もある。

P29)ドパミン受容体作動薬(麦角系):カバサール
麦角系ドパミンアゴニスト。長期内服で重大な副作用を起こしうるため非麦角系ドパミンアゴニストが使えない場合に検討する薬剤である。
長時間作用型のドパミンD2アゴニストおよびエルゴ誘導体である。適応はパーキンソン病、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的治療を要さない場合)、産褥性乳汁分泌抑制などである。
【禁忌】投与開始時もしくは経過で、心エコー検査で心臓弁尖肥厚や心臓弁可動域制限や狭窄症等が生じた症例。妊娠中毒症や産褥期高血圧症の妊産婦(産褥期に痙攣、脳血管障害、心血管障害、高血圧症等を呈する可能性があるため)。
"パーキンソン病:0.25㎎/日朝食後で開始し、2週目からは0.5mg/日に増量、以後は経過をみながら0.5㎎単位で1週間以上あけて増量可、最大3㎎とする。
高プロラクチン血症等:週1回0.25㎎就寝前投与で開始し、経過をみながら0.25㎎単位で2週間以上空けて増量可、維持量は0.25~0.75㎎で最大1㎎とする。"
【注意】長期内服で心臓弁膜肥厚、閉鎖不全を生じうるため、開始前は必ず心電図と心エコーを施行する。その後の経過でも年に一回は心エコーのフォローを行う。

P30)ドパミン受容体作動薬(麦角系):ペルマックス
麦角系ドパミンアゴニスト。長期内服で重大な副作用を起こしうるため非麦角系ドパミンアゴニストが使えない場合に検討する薬剤である。
ドパミンD1・D2アゴニストである。パーキンソン病(ただし、レボドパとの併用以外は保険適応外である)。
【禁忌】投与開始時もしくは経過で、心エコー検査で心臓弁尖肥厚や心臓弁可動域制限や狭窄症等が生じた症例。
50μg/日を夕食直後に開始し、以後2~3日毎に50μgずつ漸増する。投与開始1週間の時点で150μg/日とする。2週間目は300μg/日から開始し、同様に150μgずつ漸増し投与開始2週間の時点で600μg/日とする。3週目は750μg/日から開始し、経過をみながら維持量(750~1250μg/日)に調整する。100μg/日の時は分2朝夕食直後、150μg/日以上の時は毎食直後にする。
"粉砕時に眼刺激、異臭あり。粉砕は避ける。
【注意】長期内服で心臓弁膜の肥厚、閉鎖不全を生じうるため、開始前は必ず心電図と心エコーを施行する。その後の経過でも年に一回は心エコーのフォローを行う。"

P31)ドパミン受容体作動薬(麦角系):パーロデル
麦角系ドパミンアゴニスト。末端肥大症や高プロラクチン血症を中心に適応がある。パーキンソン症候群においても適応があるが、長期内服で重大な副作用を起こしうるため非麦角系ドパミンアゴニストが使えない場合に検討する薬剤である。
ドパミンD2アゴニストである。プロラクチン分泌抑制、成長ホルモン分泌抑制などの作用をもつ。適応は末端肥大症、下垂体性巨人症、乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、パーキンソン症候群である。
【禁忌】投与開始時もしくは経過で、心エコー検査で心臓弁尖肥厚や心臓弁可動域制限や狭窄症等が生じた症例。妊娠中毒症や産褥期高血圧症の妊産婦(産褥期に痙攣、脳血管障害、心血管障害、高血圧症等を呈する可能性があるため)。
"成長ホルモン過剰:2.5mg~7.5㎎分2~3食直後内服
高プロラクチン血症関連:2.5mgを夕食直後内服、効果をみながら5~7.5㎎に漸増し分2~3食直後内服
パーキンソン症候群:1.25~2.5㎎朝食直後内服、1~2週ごとに2.5㎎ずつ漸増し維持量(15~22.5㎎)mgとする。5㎎までは分2食直後、7.5mg以上は分3食直後とする。"
【注意】長期内服で心臓弁膜肥厚、閉鎖不全を生じうるため、開始前は必ず心電図と心エコーを施行する。その後の経過でも年に一回は心エコーのフォローを行う。

P32)ドパミン受容体作動薬(非麦角系):ニュープロパッチ
作用機序
脳内のドパミン受容体を刺激し、パーキンソン病における手足の震えなどを改善する。化学構造の違いから、麦角系と非麦角系に分かれる。

特徴
非麦角系は、麦角系と比較して、心臓弁膜症、線維症の副作用報告が少ない。
プラミペキソール(ビ・シフロール®)、ロチゴチン(ニュープロパッチ®)は、脳内のドパミンが関与して発症するとされるレストレスレッグス症候群にも使用される。突発的不眠の副作用に注意する。

非麦角系ドパミンアゴニスト。パーキンソン病やレストレスレッグス症候群に使用する貼付剤。
ドパミンD2アゴニスト。適応はパーキンソン病、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の中~高度である。
妊婦には禁忌である。
パーキンソン病:4.5mgから開始し1週間空けて4.5㎎ずつ増量、維持量(9~36㎎)とする。レストレスレッグス症候群:2.25㎎から開始し1週間空けて2.25㎎ずつ増量、維持量(4.5~6.75mg)とする。
ロチゴチン・ロピ二ロールいずれも腹部、大腿、上腕に貼付可、さらにロチゴチンは肩と臀部に貼付可、ロピニロールは胸部に貼付可。【副作用】突発性睡眠が出うるので、使用の際は運転や高所作業は控える。

P33)ドパミン受容体作動薬(非麦角系):アポカイン・ドミン
アポカイン
オフ時のレスキューで使用する非麦角系ドパミンアゴニストの注射薬。
ドパミンD1、D2様受容体に作用するドパミンアゴニストで10分強で効果が出現、90分程度で減弱する。半減期が短いため皮下注のみ。効果がレボドパ並みに強い。オフ時のレスキューとして使用するため、適応は進行期のパーキンソン病である。
Child-Pugh classC以上の肝不全患者には禁忌である。
各投与間隔2h以上、1日5回まで、定期投与はしない。初回は1㎎/回で、症状をみながら投与量の漸増を試みる。最大一回量は6㎎である。
【副作用】突発性睡眠が出うるので、使用の際は運転や高所作業は控える。

ドミン
非麦角系のドパミンアゴニスト。幻覚などの副作用がある。
ドパミンD2アゴニスト。早期単独療法、進行期併用療法ともに有効である。
妊婦・授乳婦には禁忌である。
0.2mg./日から開始し1週間毎に0.4㎎ずつ漸増、維持量は1.2㎎~3.6mg/日とする。
副作用に幻覚・傾眠・悪心(>5%)、突発性睡眠(<0.1%)などがある。他系統の抗パーキンソン病薬(レボドパ、アマンタジン、ドロキシドパ、抗コリン薬)との併用で幻覚や妄想などの出現率が上がる(16.8%)。

P34)ドパミン受容体作動薬(非麦角系):ハルロピテープ・ビシフロール
ハルロピテープ
非麦角系ドパミンアゴニスト。レキップの貼付薬版である。
適応はパーキンソン病である。(同じ貼付剤でもロチゴチンと異なり、レストレスレッグス症候群に適応はない。)
妊婦には禁忌である。
8㎎/日から開始し、1週間以上あけて8㎎ずつ漸増可。最大64mg貼付する。
ロチゴチン・ロピ二ロール(ハルロピ)いずれも腹部、大腿、上腕に貼付可、さらにロチゴチンは肩と臀部に貼付可、ロピニロール(ハルロピ)は胸部に貼付可。貼付部位を外部熱(直射日光、あんか、サウナなど)に曝露させない(血中濃度が上がるかもしれないため)。【副作用】突発性睡眠が出うるので、使用の際は運転や高所作業は控える。

ビ・シフロール
非麦角系ドパミンアゴニストでパーキンソン病とレストレスレッグス症候群に使用する。
ドパミンD2アゴニストである。神経保護作用も持つ。パーキンソン病と中~高度のレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)に適応がある。
妊婦には禁忌である。
"パーキンソン病:0.25㎎/日から開始し2週目に0.5mg/日とし、経過をみながら1週間ごとに0.5㎎ずつ増量、維持量は1.5~4.5mg/日とする。~1.5mg/日までは分2、それ以上は分3とする。
レストレスレッグス症候群:0.125㎎から開始し、1週間以上空けて0.75mgを超えない範囲で漸増可。維持量は0.25㎎である。就寝2〜3時間前に分1で内服する。"
【副作用】突発性睡眠が出うるので、使用の際は運転や高所作業は控える。

P35)ドパミン受容体作動薬(非麦角系):ミラペックス・レキップ
ミラペックス
プラミペキソールの徐放性製剤で、パーキンソン病に使用する。
ドパミンD2アゴニストである。神経保護作用も持つ。適応はパーキンソン病である(速放錠と異なりレストレスレッグス症候群への適応はない)。
妊婦、透析含め高度の腎障害では禁忌である。
初期量0.375mg/日で、2週目に0.75㎎とし、経過をみながら1週間毎に0.75mgずつ増量可。維持量は1.5~4.5㎎/日とする。
【副作用】突発性睡眠が出うるので、使用の際は運転や高所作業は控える。

レキップ
非麦角系のドパミンアゴニスト。ハルロピの内服版である。速放剤と徐放剤がある。
ドパミンD2アゴニスト。適応はパーキンソン病である。
妊婦には禁忌である。
(徐放剤)初期量2㎎で、2週目に4㎎とする。経過で1週間以上空けて2㎎ずつ漸増可。最大16㎎とする。いずれも分1内服である。
【副作用】突発性睡眠が出うるので、使用の際は運転や高所作業は控える。