"気管支喘息治療薬一覧 〜喘息治療のフローチャート〜 "

 

作用機序 Β2刺激作用により、すばやく気管支を広げ、喘息発作を和らげる。

β2受容体の選択制が高く、心刺激作用は少ない。

使用法 喘息発作やCOPD増悪に対して頓用で用いる。

SABAの使用回数を喘息コントロールの指標として問診し、毎週1回以上吸入している場合には長期管理薬をステップアップする。

専門医

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短時間作用型β2刺激薬(SABA)は気管支喘息の急性増悪(発作)や慢性閉塞性肺疾患の急性増悪時の治療薬として使用する。効果発現まで数分~10数分と即効性があるためレスキューとして使用されるが、効果は持続しない。気管支喘息で症状をSABAだけでコントロールすることは予後を悪くしたり、喘息死を増やしたりという報告もあるので、喘息のコントロールには必ず吸入ステロイドを基本の治療とする。SABAも頻用していると頻脈や振戦などのβ刺激薬としての副作用が出ることがあるので注意が必要。(呼吸器内科 キュート先生)

長時間作用性β2刺激薬(LABA)

 

作用機序 作用が12時間以上持続し、喘息やCOPDの長期管理に用いられる。
特徴 LABAは抗炎症作用を有しないので、必ずICSを併用する。ICSを併用していれば、LABAの長期使用に伴う増悪リスクは増加しない。
専門医コメント 長時間作用型β2刺激薬(LABA)は気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の安定期・慢性期の吸入剤の治療薬として使用する。ホルモテロールのように1日2回吸入するタイプと、インダカテロールのように1日1回吸入するタイプがある。特にインダカテロールは長時間効果が持続するため「ultra LABA」と呼ばれている。喘息のコントロールをβ刺激薬だけで行うと予後を悪くしたり喘息死を増やしたりという報告もあるので、喘息のコントロールには必ず吸入ステロイドを基本の治療とする。(呼吸器内科 キュート先生)

吸入ステロイド(ICS)

 

作用機序 気道炎症に対する抗炎症作用を有し、気管支喘息の中心的治療薬である。
副作用 経口ステロイドに比べ、全身性の副作用ははるかに少ない。

副作用として、口腔・咽頭カンジダ症、嗄声、咽頭刺激による咳嗽などの局所的副作用があり、うがいが予防に有効である。

特徴 吸入器はスプレータイプのpMDIとドライパウダーのDPIに大別される。高齢者や女性などで、吸入流速が低下している場合は、pMDIの使用を考慮する。
専門医コメント 吸入ステロイド(ICS)は気管支喘息や重症・増悪を繰り返す慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対して使用する。気管支喘息の治療においては、ステップ1-4まで全ての重症度で基本の治療となる。製剤によって1日1回のものと2回のものがあるので注意が必要。デバイスの違いによって粉を吸入するデバイスは「DPI」、ミストを噴霧するようなデバイスは「pMDI」と呼ばれており、患者ごとに使用が容易な製剤を選ぶ必要がある。ICSも高用量を長期に吸入すると、肺炎や骨粗鬆症のリスクが上がるとも言われているので適応は処方した後もよく検討する必要がある。

(呼吸器内科 キュート先生)

抗コリン薬(SAMA)

 

作用機序 アセチルコリンのM3受容体活性化を阻害し、気管支拡張作用を示す。
特徴 短時間型で、早期の軽い息切れ症状に頓用したり、β2刺激薬で効果不十分な呼吸困難時に追加・併用で使用される。
副作用 副作用として口渇・尿閉・閉塞隅角緑内障に注意する。
専門医

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イプラトロピウムとオキシトロピウムが短時間作用型抗コリン薬(SAMA)として位置づけられている。慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として使用することができるが、臨床の現場では使う機会はほとんどない。いずれの製剤もミストを噴霧するような「pMDI」製剤であり、効果は短時間で限定的。抗コリン薬なので口渇・尿閉・閉塞隅角緑内障には注意する。(呼吸器内科 キュート先生)

長時間作用性抗コリン薬(LAMA)

 

作用機序 アセチルコリンのM3受容体活性化を長時間阻害し、気管支拡張作用を示す。
特徴 COPDの長期管理において、LABAはLAMAに匹敵する気管支拡張効果を示すが、増悪抑制効果はLAMAが優れているため、第一選択薬はLAMAと考えられている。

気管支喘息に対してはスピリーバの有効性が示されており、ステップ2以上の喘息長期管理薬として使用できる。ICS/LABAでコントロール不十分な場合やLABAが副作用で使用できない場合にICSと併用して用いる。

副作用 副作用として口渇・尿閉・閉塞隅角緑内障に注意する。
専門医

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チオトロピウムとグリコピロニウムが長時間作用型抗コリン薬(LAMA)として位置づけられています。特に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の安定期の治療の第1選択薬として使用します。気管支喘息に対しても吸入ステロイドに上乗せする気管支拡張薬としてエビデンスがある。抗コリン薬なので口渇・尿閉・閉塞隅角緑内障には注意する。(呼吸器内科 キュート先生)

ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)

 

作用機序 鼻粘膜の容積血管拡張や血管透過性を抑制し、鼻閉を改善する。鼻閉に対する効果は、第二世代抗ヒスタミン薬よりも優れる
特徴 アレルギー性鼻炎を合併した喘息に効果が高い。

効果発現は内服開始後1週で認められ、連用で改善率が上昇する。

専門医

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抗ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)はシステイニルロイコトリエン1受容体を阻害し、気道粘膜の炎症を軽減する効果が期待できる。鼻炎症状に対しては鼻汁よりも鼻閉に対して効果が高い。気管支喘息に対しては、吸入ステロイドに対する上乗せとして使用することが一般的であり、単独で使用することはしない。

(呼吸器内科 キュート先生)

テオフィリン製剤

 

作用機序 気管支拡張作用と抗炎症作用を併せ持つ。喘息、COPDに対する抗炎症効果は5〜10μg/mLで発現する。
副作用 テオフィリンを主成分とする製剤であり、治療の有効域が狭いため、適切なTDM管理を行い、20μg/mLを超えないようにする。内服では悪心・嘔吐などの消化器症状が主な副作用である。

テオフィリン徐放性剤は生後6ヶ月未満の乳児には使用しない。

専門医

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テオフィリン製剤は気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対して、吸入剤の気管支拡張薬に追加して補助的に使用することがあります。ホスホジエステラーゼを阻害し、細胞内のcAMPを増加させて、アデノシン受容体を拮抗させたり細胞内カルシウムを調節することにより気管支拡張作用を示すと言われています。また、低用量のテオフィリンがHDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)に作用し、抗炎症的に働くことでCOPDでの気道炎症や酸化ストレスを軽減させる作用が言われています。気管支拡張作用を示すのに必要なテオフィリン濃度が5-15µg/mLであり、それを超えると嘔気や不整脈の中毒症状が出ることがあるので、テオフィリンを処方している患者では半年ごとを目安に採血で血中濃度を測定することが一般的である。(呼吸器内科 キュート先生)

吸入ステロイド・β2刺激薬配合剤(ICS・LABA)

 

作用機序 抗炎症作用と気管支拡張作用を有する。
特徴 シムビコートは定期吸入に追加して発作時にも使用可能(SMART療法)。定期使用量が1日4吸入以下の場合は、症状悪化時に1日合計8吸入まで追加吸入可能である。

ICS/LABAはLAMA/LABAより増悪抑制効果が弱いとする報告が多い。喘息・COPDオーバーラップの場合以外は、LAMAやLABA、あるいはLAMA/LABAを優先し、増悪が認められる場合にICSの併用を考慮する。

専門医

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抗炎症作用のある吸入ステロイドと気管支拡張作用のある長時間作用型β2刺激薬の合剤。肺機能の改善や増悪抑制効果のみならず、1度に2種類吸入できるのでアドヒアランスを保つ意味合いもある。ICS・LABAをそれぞれ単独で吸入するよりも効果が高い。「シムビコート」は吸入回数でICSの用量を調整するが、吸入回数が増えるとβ刺激薬も増えてしまうので動悸や振戦に注意が必要。「レルベア」や「アテキュラ」はICSの用量ごとに製剤が異なるのでβ刺激薬が増える心配がない。(呼吸器内科 キュート先生)

抗コリン薬・β2刺激薬配合剤(LAMA・LABA)

 

特徴 2種類の気管支拡張薬を含有し、COPDに適応がある。

単剤で効果不十分な際に用いる。スピオルト、アノーロ、ウルティブロ、ビベスピの4種がある。

専門医

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気管支拡張作用のある長時間作用型β2刺激薬と長時間作用型抗コリン薬の合剤で慢性閉塞性肺疾患(COPD)で呼吸困難の症状が強い、1秒量が低いような症例に使用する。それぞれを単独で吸入するよりもアドヒアランスが保たれることから効果が高い。実臨床では製剤ごとの成分の違いよりも吸入器デバイスがちゃんと患者にあったものを選択する。

(呼吸器内科 キュート先生)

吸入ステロイド・抗コリン薬・β2刺激薬配合剤(ICS・LAMA・LABA)

 

特徴 3剤配合剤で、喘息とCOPDに適応がある。

ICS/LABAやLAMA/LABAより、COPDの増悪抑制効果が高いことが報告されている。

末梢血好酸球数が多いと効果が高いとされ、目安は300/μL以上が示唆されている。

専門医

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吸入ステロイドと2種類の気管支拡張薬が合わさった合剤で慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息に使う。「ビレーズトリ」はCOPDのみに「テリルジー」と「エナジア」は喘息のみに適応がある。COPDに使用する際には気管支喘息の要素のある「喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)」と呼ばれる病態か、増悪を繰り返すCOPDに主に使用される。実臨床ではトリプル製剤とか、3成分配合剤とか呼ばれる。(呼吸器内科 キュート先生)

分子標的治療薬

 

作用機序 IgE, IL-5, IL-4/IL-13の作用を阻害する抗体薬である。
特徴 ヌーカラやファセンラは、末梢血好酸球数が多いほど、喘息増悪抑制効果が高い。

デュピクセントは、呼気NO濃度、好酸球数、血清IgEが高いほど喘息増悪抑制効果が高い。

用量 注射間隔:デュピクセント2週(指導後に自己注射可能)、ゾレア2〜4週、ヌーカラ毎月、ファセンラ隔月。
専門医

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鼻茸を伴う副鼻腔炎にも適応あり。IgEや好酸球上昇の症例にも有効性はあり。

(膠原病内科 MajorTY)