術後再発症例におけるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬のリアルワールドデータ

要約
Miyata Rらは、完全切除されたEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の術後再発に対して、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬が投与された症例の長期成績に関する多施設共同後ろ向き研究を実施。術後再発からの無増悪生存期間の中央値は26.1ヶ月、全生存期間の中央値は55.4ヶ月であった。多変量解析の結果、Exon 21 L858R変異と無再発期間(初回手術から再発までの期間)が、無増悪生存期間と関連する有意な予後不良因子であった。本論文は、European Journal of Cardiothoracic Surgery誌において発表された。

背景
・肺癌診療ガイドラインにおいて、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の術後再発に対しては、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬が第1選択とされている。
・臨床試験において、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の術後再発症例は、進行(転移性)非小細胞肺癌症例とあわせて解析されることが多く、術後再発症例に絞った治療成績のデータは少ない。

研究デザイン
・日本国内の11施設における、2014年から2016年の間の肺癌切除症例を集めた多施設データベースを使用したリアルワールドデータ研究
・完全切除されたEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の術後再発に対して、ファーストライン治療としてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬が投与された患者が対象
・評価項目:有害事象、無増悪生存期間、全生存期間

研究結果
・グレード3以上の有害事象は9.4%の症例でみられた。
・術後再発からの無増悪生存期間の中央値は26.1ヶ月、5年無増悪生存率は15.8%
・多変量解析の結果、Exon 21 L858R変異と無再発期間(初回手術から再発までの期間)が、無増悪生存期間に関連する有意な予後不良因子であった。
・術後再発からの全生存期間の中央値は55.4ヶ月、5年全生存率は40.1%
・多変量解析の結果、年齢、喫煙歴、初回手術時のN2リンパ節転移が、全生存期間に関連する有意な予後不良因子であった。

結論
・完全切除されたEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の、術後再発に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬は、良好な長期成績(無増悪生存期間と全生存期間)を示した。Exon 21 L858R変異は、無増悪生存期間と関連する重要な予後因子かもしれない。

コメント
・FLAURA試験と比較して、無増悪生存期間及び全生存期間が、ともに長くなったのは興味深い。
・ADAURA試験の結果を踏まえ、オシメルチニブを術後補助化学療法として使用するかどうかを検討する上で、術後再発に対してEGFRチロシンキナーゼ阻害薬を使用した症例のデータが必要である。
・この論文は、再発してからEGFRチロシンキナーゼ阻害薬を投与するというオプションもあり得ることを示唆している。

原著
https://academic.oup.com/ejcts/article-lookup/doi/10.1093/ejcts/ezac430

執筆:白浜町胸部外科医