肺がん術後補助化学療法としてのペムブロリズマブは予後を改善するか?

要約
Brienらは、完全切除されたIB-IIIA期の非小細胞肺癌に対するアジュバント療法としてペムブロリズマブ(キイトルーダ®)を用いた試験治療群と、プラセボ群とを比較検証する第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験を実施した(PEARLS/KEYNOTE-091)。

その結果「ペムブロリズマブ群」は「プラセボ群」と比較して、統計学的に有意に無病生存期間を延長した。本研究はLancet-oncology誌に発表された。

背景
・進行非小細胞肺癌に対する標準治療としてペムブロリズマブは使用されているが、切除可能非小細胞肺癌に対する周術期治療としての効果は不明である。
・完全切除されたIB-IIIA期の非小細胞肺癌に対するアジュバント治療としてのペムブロリズマブの効果を検討した。

研究デザイン
・29カ国の196の医療機関から患者を募集
・対象は18歳以上かつ、完全切除された病理病期IB期-IIIA期(7版)の非小細胞肺癌かつ、組織型またはPD-L1発現レベルを問わず、パフォーマンスステータスが0または1である患者1177人が対象
・「ペムブロリズマブ群」と「プラセボ群」にランダム化
・ランダム化割付因子は病理病期、ペムブロリズマブ以前の術後補助化学療法の有無、PD-L1発現、および地域
・主要評価項目:全患者およびPDL-1 TPS(腫瘍割合スコア)が50%以上の患者における無病生存率

研究結果
・全患者における無病生存率の中央値はペムブロリズマブ群が53.6ヶ月、プラセボ群が42.0ヶ月でペムブロリズマブ群が優越性を示した(p=0.0014)
・PDL-1 TPS 50%以上の患者における無病生存率の中央値はペムブロリズマブ群が44.3ヶ月、プラセボ群が35.8ヶ月で有意な差ではなかった(p=0.14)
・Grade3以上の有害事象はペムブロリズマブ群で34%、プラセボ群で26%に認められた。

結論
・完全切除されたIB-IIIA期の非小細胞肺癌に対するアジュバント療法としてペムブロリズマブは無病生存期間を延長し、新しい治療選択肢となる可能性がある。

コメント
・PEARLS試験はIMPOWER010試験(術後補助化学療法としてのアテゾリズマブ)との比較検討が重要であろう。IMPOWER010試験ではPDL-1 TPSが50%以上の高い集団でより強い効果を示したのに対して、PEARLS試験ではPDL-1 TPSが高い集団では効果が不十分であった。一方で、PDL-1 ステータスに関わらず全集団では有効性が認められた。
・日本人も参加している試験であるが、PDL-1ステータスにかかわらず全集団を対象にペムブロリズマブが術後補助化学療法として承認されるかどうかは不明である。よりよいバイオマーカーが必要となるかもしれない。

原著
https://doi.org/10.1016/S1470-2045(22)00518-6

執筆:mfj呼吸器外科