PACIFICレジメンに新たな免疫作用薬との組み合わせが有効か。第二相試験(COAST試験)

PACIFICレジメンに新たな免疫作用薬との組み合わせが有効か。第二相試験(COAST試験)

要約
Roy Sらは、切除不能の非小細胞肺癌(NSCLC)を対象に、現在の標準治療であるデュルバルマブ1年投与にさらなる免疫作用薬の上乗せが有効かを検討するII相試験をおこなった。本研究の結果は新たな免疫作用薬を併用することで、奏効率、無病生存期間の改善を期待できる結果であった。この試験はJournal of Clinical Oncologyに2022年4月に発表された。

背景
・PACIFIC試験で切除不能ステージⅢのNSCLCに対して、根治的化学放射線療法後にデュルバルマブを1年投与することで予後が延長することが示されており、標準治療である[1]。
・さらなる成績の上乗せが必要と考えられ、新たな免疫作用薬の併用が有望かを検証するII相試験である。

研究デザイン
切除不能のステージⅢNSCLCでPS0/1で、根治的化学放射線療法後に進行のない患者を以下の3群の1年投与に、1:1:1で割り付けた。
・デュルバルマブ単独
・デュルバルマブ+オレクルマブ(抗CD73抗体)
・デュルバルマブ+モナリズマブ(抗NKG2A抗体)

※主要評価項目:治療責任医師の客観的奏効率
※副次評価項目:安全性、奏功期間、病勢コントロール率、12ヶ月無増悪生存率、全生存

研究結果
median follow upは11.5ヶ月。患者集団としては、扁平上皮がんの患者が42.9%を占め、StageⅢAが45.5%であった。化学療法は1/3がシスプラチンレジメンを投与されており、9割程度が照射後14日以降に治療開始された。

※客観的奏効率
・デュルバルマブ単独:(17.9%、95%CI、9.6~29.2)
・デュルバルマブ+オレクルマブ:(30.0%、95%CI、18.8~43.2)
・デュルバルマブ+モナリズマブ:(35.5%、95%CI、23.7~48.7)

※無増悪生存期間
・デュルバルマブ単独と比較して、試験レジメンが有意に延長した。
・デュルバルマブと比べて、デュルバルマブ+オレクルマブでHR:0.44;95%CI、0.26~0.75
・デュルバルマブと比べて、デュルバルマブ+モナリズマブでHR:0.42;95%CI、0.24~0.72

※安全性
・グレード≧3の治療上有害事象は、以下のとおりであった。
・デュルバルマブ:39.4%
・デュルバルマブ+オレクルマブ:40.7%
・デュルバルマブ+モナリズマブ:27.9%
肺炎はデュルバルマブ群で1.5%のみで認められた。

結論
・併用療法は双方ともデュルバルマブ単独療法に比べ、客観的奏効率を増加させ、無増悪生存期間を延長させた。
・新たな併用療法で重大な安全性シグナルは確認されなかった。
・第III相試験でのさらなる評価を支持するものである。

コメント
・CD73もNKG2Aも抗腫瘍免疫応答にかかわっており、放射線治療に抗CD73抗体オクレルマブや抗NKG2A抗体モナリズマブを併用すると抗腫瘍作用が増強することが前臨床モデルで示されているため、本試験がおこなわれた。
・新規の経路の腫瘍免疫の賦活化で、臨床効果が得られた貴重な知見である。
・この試験の3群でIII相比較試験、PACIFIC-9が進行中である[2]。

原著
Roy S Herbst et. al
COAST: An Open-Label, Phase II,
Multidrug Platform Study of Durvalumab Alone or in Combination With Oleclumab or Monalizumab in Patients With Unresectable, Stage III Non-Small-Cell Lung Cancer
PMID: 35452273 DOI: 10.1200/JCO.22.00227

執筆:関西の放射線治療医

参考文献
[1] David R Spigel et al. Five-Year Survival Outcomes From the PACIFIC Trial: Durvalumab After Chemoradiotherapy in Stage III Non-Small-Cell Lung Cancer JCO 2022
[2]https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05221840 (参照2022-8-23)