術後補助化学療法としてのオシメルチニブの適応を考える

術後補助化学療法としてのオシメルチニブの適応を考える

要約
Wu YLらは、完全切除されたEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌を対象に、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬「オシメルチニブ」(商品名:タグリッソ)の有効性を検証する第Ⅲ相ランダム化比較試験を実施(ADAURA試験)。その結果、コントロール群と比較して、術後補助化学療法のオシメルチニブは統計学的に有意に無病生存期間を延長した。本研究はNEJM誌において発表された。

背景
・オシメルチニブは、EGFR遺伝子変異陽性の進行期非小細胞肺癌に対する第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬であり、第1世代や第2世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬よりも長期成績が良好である。
・周術期治療への関心が高まる中、オシメルチニブの術後補助化学療法としての効果は未知である。

研究デザイン
・肺葉切除により完全切除された、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌で、病理病期がIBまたはIIまたはIIIAであった患者682人が対象
・「オシメルチニブ群」と「プラセボ群」にランダム化
・主要評価項目:病理病期IIまたはIIIAの患者における無病生存期間
・副次評価項目:病理病期IBまたはIIまたはIIIAの患者における無病生存期間、全生存期間、安全性

研究結果
・病理病期IIまたはIIIA患者の無病生存期間におけるハザード比:0.17(99.06% CI, 0.11 to 0.26; P<0.001)
・病理病期IBまたはIIまたはIIIA患者の無病生存期間におけるハザード比:0.20(99.12% CI, 0.14 to 0.30; P<0.001)
・全生存期間は未到達
・安全性に関する新規の問題点なし

結論
・完全切除された、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者において、術後補助化学療法のオシメルチニブはプラセボと比較して、有意に長い無病生存期間を示した。

コメント
・今回の研究結果では、術後補助療法としてのオシメルチニブは無病生存期間において優れたハザード比を示し、プラセボとの間に統計学的有意差を認めた。
・その一方で全生存期間における、オシメルチニブの優越性はまだ示されていない。そのため、この研究結果のみで術後補助化学療法としての役割が確立されるかは議論のわかれるところである。
・試験デザインとして、以下の2点について今後議論すべきかもしれない。
↳ステージ1に対する術後補助療法としてのオシメルチニブは、過剰介入の可能性がある。
↳殺細胞性抗癌剤による術後補助化学療法がおこなわれていた患者も、おこなわれていない患者も組み入れられている。

原著
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2027071

執筆:白浜町胸部外科医