術前導入化学療法にニボルマブを加える意義とは?

術前導入化学療法にニボルマブを加える意義とは?

要約
Forde PMらは、切除可能と判断された臨床病期IB-IIIA期の非小細胞肺癌を対象に導入療法として、化学療法に免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ」(商品名:オプジーボ)を上乗せした効果を検証する第Ⅲ相ランダム化比較試験を実施(CheckMate 816試験)。

その結果「ニボルマブ+化学療法群」は「化学療法単独群」と比較して、統計学的に有意に無イベント生存期間を延長した。本研究はNEJM誌において発表された。

背景
・進行非小細胞肺癌に対しては、術前導入療法(化学療法または化学放射線療法)をおこなってから外科的切除をおこなうことが多いが、それでも術後再発することは少なくない。
・術前導入療法として、化学療法に免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブを加えることの効果は未知である。

研究デザイン
・臨床病期IB-IIIA期の切除可能な非小細胞肺肺癌の患者773人が登録され、505人がランダム化
・「ニボルマブ+化学療法群」と「化学療法単独群」にランダム化
・主要評価項目:無イベント生存期間および病理学的完全奏効(切除した肺とリンパ節の生存腫瘍0%)
・無イベント生存期間における「イベント」を、切除前の腫瘍の進行増大、または切除後の再発、または死亡と定義

研究結果
・無イベント生存期間は、ニボルマブ+化学療法群が31.6カ月、化学療法単独群が20.8カ月
・無イベント生存期間におけるハザード比0.63(97.38%CI:0.43-0.91、P=0.005)
・病理学的完全奏効が得られた患者の割合は、ニボルマブ+化学療法群が24.0%、化学療法単独群が2.2%
・病理学的完全奏効におけるオッズ比13.94(99%CI:3.49-55.75、P<0.001)

結論
・切除可能と判断された非小細胞肺癌患者における術前導入療法としてニボルマブ+化学療法群は、化学療法単独群と比較して有意に長い無イベント生存期間と高率の病理学的完全奏効を示した。

コメント
・臨床病期IIIA期に関しては「化学療法単独」よりも「ニボルマブ+化学療法」による導入療法を検討してもよいだろう。
・臨床病期IB期とII期においては両者の有意差はなく、慎重に判断すべきである。
・術前導入療法としての「ニボルマブ+化学療法」と「化学療法+放射線療法」の比較は、今後の研究結果が待たれる。

原著
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2202170?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed

執筆:白浜町胸部外科医