研修医・専攻医のための医学英語 基礎編1:医学英語の略語を使いこなそう

医学英語を身につければ、仕事の場は世界に広がります。研修医と専攻医の先生には、医学英語を最小限の努力で最大限の効果を得られるように学んでいただきたいものです。この記事では、日本人医師の医学英語における失敗をあげ、それを手がかりに医学英語の知識を広げていきます。今回は基礎編の第1回として、医学英語の略語に注目しましょう。

正しい略語を学べば、複雑で長い単語を発音せずに会話できる
医療英会話で使用される「esophagogastroduodenoscopy」や「atrial fibrillation」のような単語は、複雑で長いため発音するのが難しいです。しかし、それぞれEGD、a-fibと略語を使えば、簡単に発音できます。略語を学ぶことで、発音しにくい単語を使わずに会話できるのです。

私は臨床留学中、何気なく「血糖」を意味するつもりでBSとカルテに記載していました。しかし、私のカルテを目にしたアメリカ人研修医から、英語で「血糖」の略語は「bull shit」だと教えてもらいました。日本人が習慣的に使う医学英語の略語は、北米では別の意味を持つことがあるのです。

間違った略語を使うと、大きな誤解の種になりかねません。血糖の略語を間違えて以来、私は注意して、正しい略語を覚えるようにしています。皆さんも略語を学習する際は、正しい略語かどうかに注意しましょう。

意味が同系統の略語をまとめて習得しよう
意味が同系統の略語は、まとめて覚えると頭に入りやすいです。まずは検査・手技に関するものをあげます。
・TTE/TEE(transthoracic echocardiogram/transesophageal echocardiogram〔経胸壁/経食道心臓超音波検査〕)
・PFT(pulmonary function test〔肺機能検査〕)
・EGD(esophagogastroduodenoscopy〔上部消化管内視鏡〕)
・TTNA(transthoracic needle aspiration〔経胸壁針生検〕)
・I&D(incision and drainage〔切開ドレナージ〕)
・lap chole(laparoscopic cholecyctectomy〔腹腔鏡下胆嚢摘出術〕)
日本で使われることの少ない略語であるため、意識して覚えましょう。

病歴や指示に関する略語は、会話やカルテ記載に役立ちます。HPI(history of present illness〔現病歴〕)やPMH(past medical history〔既往歴〕)は、日本でもお馴染みですね。それでは、日本ではあまり見かけない略語を中心に紹介します。

留学当初の私にとって、英語でのカルテ記載は、日本語で書くよりも数倍時間がかかり、スペルミスもよくしていました。そこで、以下のような略語を現地の研修医のカルテから学びました。
・p/w(presents with〔〜を症状として受診する〕)
・AAT(advance as tolerated 〔食上げをおこなう〕)

また、北米の電子カルテには、北米では常識とされる略語がすでに記載されています。そのため、以下のような主だった略語を知っていないと業務に支障をきたします。
・D/C(discontinue or discharge〔中止する」または〔退院させる〕)
・TKO(to keep open 〔ルートキープ〕)
・CMO(comfort measure only〔緩和処置のみ〕)
・AAT(advance as tolerated 〔食上げをおこなう〕)
・OOB(out of bed〔離床〕)

他科コンサルトにおいては、以下の診療科の略語を覚えておくと役立ちます。
・GI(gastrointestinal〔消化器内科〕)
・Hem/Onc(hematology oncology〔血液腫瘍内科〕)
・ID(infectious disease〔感染症科〕)
・Ortho(Orthopedics〔整形外科〕)
・Ob/Gyn(Obstetrics and Gynecology〔産婦人科〕)
・Gen Surg(General Surgery〔一般外科〕)

メールや携帯電話のテキストメッセージにおける略語
北米の医師も携帯やメールで多くの業務上のやり取りをします。略語を使うことでテキストメッセージを作成する時間が節約できますので、ぜひ、次の略語をマスターしましょう。
・d/t(due to〔〜が原因で〕)
・b/c(because〔〜だから〕)
・BTY(by the way〔ところで〕)
・TYまたはTy(Thank you〔ありがとうございます〕)
・r u OK?(are you OK?〔あなた大丈夫?〕)

医学英語の正しい略語を身につければ武器となる
北米の医療で使われる略語は、日本の略語とは異なることが多いので気をつけましょう。その上で多くの略語を身につけ、使いこなせれば、日常医療で便利です。多くの略語を効率よく身につけるためには、意味が同系統の略語をまとめて覚えることをおすすめします。

執筆:白浜町胸部外科医