マンモグラフィ検査で要精査になった……と相談された時に役に立つ話

マンモグラフィ検査で要精査になった……と相談された時に役に立つ話
医療者になると、専門にかかわらず疾患の相談を受けることがあると思います。いつか、マンモグラフィ検査で要精査になったため、どうしたらいいかと相談されることが、あるかもしれません。しかし、突然相談されても、マンモグラフィの結果報告書は見慣れないもので、どうアドバイスすべきか困ってしまいますよね。

今回は、マンモグラフィ検査で要精査になったと相談された時に役に立つ話を紹介していきます。この記事で、マンモグラフィ検査の基本について学んでいきましょう。
マンモグラフィ検査は乳房を圧迫し二方向から撮影する

マンモグラフィ検査とは乳房専用のX線撮影検査のことです。乳房を板で圧迫し、薄く伸ばした状態で撮影をします。

乳房を圧迫するため、マンモグラフィ検査には痛みをともなうことがあります。なぜ乳房を圧迫するかというと、乳房を圧迫することで、乳腺組織の重なりが少なくなり、病変部の描出力を上げられるからです。また、乳房の厚みを減らすことができ、撮影のための被ばく線量が少なくなることも理由のひとつです[1]。

マンモグラフィには、内外斜位方向に撮影する方法(Mediolateral Oblique:MLO撮影)と頭尾側方向に撮影する方法(Cranio-Caudal:CC撮影)があります[2]。検診では、片側乳房ごとに、MLO撮影とCC撮影の計4回の撮影をおこなうことが多いです。検診をおこなう施設や年齢により、MLO撮影のみ計2回の撮影をおこなうこともあります。

カテゴリー3以上が要精査
マンモグラフィの結果報告書の記載は統一されていません。乳房のシェーマと所見、カテゴリー、精査が必要かの最終判定などが記載されているものが多くみられます。

日本ではマンモグラフィは一般的に、日本医学放射線学会・日本放射線技術学会より刊行されているマンモグラフィガイドラインに沿って読影されます。このマンモグラフィガイドラインは、American College of Radiology(ACR)から刊行されているガイドラインであるBI-RADSをベースにして作成されました。そのため、マンモグラフィの読影に関して使用される用語は、日本のマンモグラフィガイドラインとBI-RADSで類似しています。

しかし、カテゴリー分類には違いがあります。日本のカテゴリー分類は、悪性度の確信度を示し、カテゴリーは1〜5です。一方、BI-RADSのカテゴリー分類は、悪性度の確信度と検査後の推奨マネジメントを示し、カテゴリー0〜6に分類されます。

日本のマンモグラフィガイドラインのカテゴリー3は「良性を第一に考えるが、悪性も否定できない」というものです。カテゴリー3以上は悪性の可能性が出てくるため、精密検査が必要という判断になります[2,3]。

以下が、日本のマンモグラフィガイドラインによるカテゴリーの定義です。
 ・カテゴリー1:異常なし
 ・カテゴリー2:明らかに良性と診断できる所見がある
 ・カテゴリー3:良性、しかし悪性を否定できず
 ・カテゴリー4:悪性疑い。悪性の可能性が高く、良性の可能性もあり、細胞診、生検が推奨される
 ・カテゴリー5:悪性。ほぼ乳がんと診断される

知っておくとよいマンモグラフィ用語
マンモグラフィの所見の記載も、日本のマンモグラフィガイドラインに沿っておこないます。マンモグラフィ検査に客観性を持たせるために、以下のような共通の用語を使用することが勧められています。これらの用語はBI-RADSを参考にして、日本に合うように改変されたものです[2]。

・腫瘤:腫瘤は再現性のある占拠性病変のことを指し、MLO撮影とCC撮影の二方向で認められるものをいいます。腫瘤を認めた場合は、周囲の組織と比較した濃度、形状、境界及び辺縁を評価し、良悪の可能性を判断することが必要です。辺縁の状態を表す用語で、腫瘤辺縁の棘状の陰影を表すスピキュラというものがあります。スピキュラが認められた場合は悪性と判断し、カテゴリーが5になります。

・石灰化:組織に沈着したカルシウムが石灰化です。石灰化の形と分布から、良悪の可能性を判断します。中心が黒く抜けた石灰化(中心透瞭性石灰化)や皮膚、血管の石灰化などは良性と判断されます。

・局所的非対象陰影:FAD(focal asymmetric density)と呼ばれることもあります。左右を比較した際に、非対称に見られる乳腺組織です。乳腺組織の重なりを見ている場合もありますが、病変が隠れていることもあります。

・構築の乱れ:乳腺組織のゆがみやひきつれをいいます。Distortionと呼ばれることもある所見です。正常の乳腺組織は、乳頭から胸壁に向かって方向性を持って広がっています。病変が存在すると乳腺組織にゆがみやひきつれが生じることがあり、構築の乱れとなります。
乳腺科を受診したらおこなう検査
マンモグラフィ検査で要精査となった方が乳腺科を受診すると、多くは問診や視触診、超音波検査を受けることになります。検診のマンモグラフィ検査がMLO撮影のみであった場合は、CC撮影を追加することがあるかもしれません。

これらの検査で更なる検査が必要と判断した場合、所見に応じて、MRI検査や、細胞診、針生検、マンモトーム生検を提案します。

まずは乳腺科受診を勧めよう
マンモグラフィ検査で要精査=乳がんと思い込み、不安から乳腺科受診を先延ばしにする方がいます。精査が必要だと判断されたからといって、必ずしも乳がんではありません。

また、以前も同じ結果だったから乳がんではないと自己判断して受診されない方もいます。正確な診断をつけるために、まず乳腺科受診を勧めてください。

執筆:Haidallas@乳腺科

[1]Compression: Another Critical Factor in Image Quality.https://www.fda.gov/radiation-emitting-products/mqsa-insights/compression-another-critical-factor-image-quality#:~:text=Compression%20is%20necessary%20to%20separate,needed%20to%20perform%20the%20mammogram.(参照2022-10-3)
[2]マンモグラフィガイドライン第3版.2014.医学書院
[3]日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン.https://jbcs.xsrv.jp/guidline/2018/index/kenshingazo/(参照2022-10-3)