間質性肺炎の咳嗽、呼吸困難、あなたならどうマネジメントする!?

「間質性肺炎」と聞いた途端、とりあえずすぐに呼吸器科へ紹介しなきゃ。そう思う医師は少なくないかもしれません。大学病院や地域の基幹病院で勤務していると多くの間質性肺炎の患者さんが紹介されてきます。ひとくちに間質性肺炎といってもリウマチなどの膠原病や漢方などの薬剤が原因の間質性肺炎、カビや鳥の粉塵などが原因となる過敏性肺炎など多岐にわたります[1]。

今日はそのような専門的なお話は専門医に任せていただいて、非専門医の医師を含む普段間質性肺炎を積極的に診断、治療していない方向けにざっくばらんにお話しようかと思います。

大学病院にいるときは、本当に若い間質性肺炎の方も診療する機会がありますが、地域の基幹病院にいくと多くは高齢者の間質性肺炎の方が多い印象です。また実際には、開業医の先生や往診医の先生も多くの間質性肺炎の患者さんを診療してくださっています。

間質性肺炎の原因が多岐にわたるといっても、多くは原因不明であることが多いのが実情です。また、高齢な方の場合には積極的に検査や診断が行えない、治療導入も難しい、往診を受けるくらいのADLなので介入が難しいということもあります。

今回は間質性肺炎の患者さんが訴える「咳嗽」や「呼吸困難」についてお話します。良く知人の医師から、「間質性肺炎の患者さんで咳止まらないんだけど、どうしたらいいの?」と聞かれることがあります。もちろん呼吸器内科に紹介してもらえれば良いのですが、呼吸器内科医は疾患の患者数の割に専門医が少ないため、病院常勤医として呼吸器内科医が不在であることも珍しくなく、地域によっては非常勤としても不在のことがあります。
最初に言っておくと、専門医が知る魔法の鎮咳薬というのは残念ながら存在しません。個人的にはメジコン錠15mg(デキストロメトルファン)6T3×で処方して、リン酸コデイン散1%(コデインリン酸塩) 6g3×を追加、どうしても難治性の場合には、メテバニール錠2mg(オキシメテバノール)3T3×を処方しています。メテバニールは麻薬処方となり14日制限があるというのが日常臨床では困ります。

ここでよくある間質性肺炎相談症例を2つ共有します。

症例1
90歳、男性、以前は間質性肺炎で総合病院に通院していたが徐々に通院が困難となり、現在は往診を月に2回受けている。在宅酸素を使用していて、プレドニゾロンを10mg/日内服している。夜間の咳嗽がひどく眠れていない。急に咳嗽で苦しくなったりということはないけれと以前より咳嗽がひどくて困っている。メジコンなどの鎮咳薬をもらっているがほぼ効果を感じない。
まずは感染がないかを確認しましょう、発熱や膿性痰の有無など、間質性肺炎でステロイド内服中では感染合併リスクが高くなります。そのうえで現病の悪化と考えた場合には、リン酸コデイン散やメテバニールの追加を行います。それでもなかなか難治性の咳嗽がおさまらないということも経験します。
もし、間質性肺炎の終末期の状況であれば、積極的なオピオイドの検討を行いましょう。慢性呼吸不全の終末期であればモルヒネ塩酸塩注射液の持続点滴静注や持続皮下注を行うこともあります。最近では非がん性呼吸器疾患緩和ケア指針が示され、間質性肺炎に対する緩和ケアについても記載がされています[2]。呼吸困難に対しても実際には麻薬による呼吸困難の緩和を行うことがあります。

症例2
87歳、男性、重喫煙者、以前から間質性肺炎を指摘されていたが、定期的な通院はしておらず、呼吸困難を訴える数日前までは喫煙もしていた。当直中に救急搬送されてきて、リザーバーでO2 10L/分、CTで両肺野にびまん性のすりガラス陰影が指摘された。明らかな感染のエピソードはないが、1週間前くらいから風邪っぽい感じがしていた。
原因不明の間質性肺炎急性増悪が疑われます。さてどうしましょうか。なかなか非専門医の先生が画像所見から感染よりは間質性肺炎急性増悪だとは言い切れないかとは思いますが、呼吸状態から時間は待ってはくれません。広域抗菌薬を投与しながらステロイド大量療法(通常はメチルプレドニゾロン500~1000mg/日×3日間)を行うというのが現実的です。場合によりそれに加えて適応外使用にはなりますが、エンドキサン(シクロフォスファミド)投与を行うこともあります。ただし、それでもステロイド抵抗性を示し、一定の割合の患者さんが亡くなられる厳しい疾患になります。

このような状況において強い呼吸困難を訴える場合には、モルヒネ塩酸塩注射液の持続点滴静注やそれでも呼吸困難が緩和されない場合にはミダゾラムによる鎮静を行うこともあります。

最後に、間質性肺炎は多くのことがわかってきたとはいえ、今でも診断に悩み、治療導入のタイミングが難しい、予後が厳しいということには変わりはありません。今回のお話が、日常診療で出会う間質性肺炎患者さんへの理解の一助になればと思います。紹介可能な際はぜひご紹介くださいね。

文責; ドクター心拍@呼吸器、感染症(@dr_shinpaku)

(参考文献)
[1] 特発性間質性肺炎診断と治療の手引き(改訂第3版) (jrs.or.jp)
[2] 緩和ケア.indb (jrs.or.jp)