もうすぐバレンタインデー「チョコレートは健康によい」は本当?

「チョコレートは健康によいってテレビで見ましたけど、本当ですか?」
「チョコレートは健康によいから、いくらでも食べてもいいですか?」
もうすぐ訪れるバレンタインを前に、チョコレートに関する質問を受けた先生はいませんか。

甘くておいしいイベントを楽しみにしている方は多いですよね。今回はバレンタインデーを控えた時期ですので、チョコレートの影響について調べました。個人の見解になりますが、発表されている論文をまとめてみます。

チョコレートに期待できる効果とは

チョコレートには心臓、脳など複数の臓器によい効果が報告されています。論文から紹介します。

フラバノールが効果をもたらす

フラバノールとは、チョコレートの原材料であるカカオに多く含まれている成分です。フラバノールには、心血管疾患や2型糖尿病の病態形成となる血小板凝集やインスリン感受性、酸化ストレスに対して有益な効果が報告されています[1]。
チョコレートは心血管疾患と脳卒中の予防に効果がある
2011年にある論文が発表されました。チョコレートを最も消費する群と最も消費しない群で比較し、心血管疾患は37%、脳卒中は27%減少させるという驚きの結果でした[2]。

他にも、2型糖尿病患者を対象にダークチョコレートを摂取した群とホワイトチョコレートを摂取した群を比較した研究があります。ダークチョコレートを摂取した群で有意に以下の値を改善する結果でした[3]。
・血糖値 -7.84mg/dL
・収縮期血圧 -5.93mmHg
・拡張期血圧 -6.40mmHg

この研究では8週間にわたってチョコレートを毎日25g摂取していますが、体重やBMIや中性脂肪値の悪化は見られていません。

チョコレートは認知機能の低下にも効果あり

チョコレートには認知症を予防する効果もあるかもしれない、という論文があります。チョコレートの習慣的な摂取をおこなうことで、高齢者の認知機能を改善させるか確認した研究です。研究では、チョコレートを摂取なし・10g/日未満・10g/日以上の3つのグループに分けました。食事記録からダークチョコレート、ミルクチョコレートの違いが記録されています。結果は、ダークチョコレートを10g/日以上摂取していた群で認知機能低下が軽度でした。ダークチョコレートの消費の多さと、軽度認知障害の可能性を低くすることに関連が見られたのです[4]。

現時点ではチョコレートの予防効果ははっきりしない

2022年1月時点では、チョコレートの効果は、限定的であるという考えが主流のようです。2020年のシステマティックレビューでは、脳卒中と心血管疾患のリスクについてチョコレート摂取量が増えるごとに低下する可能性があるとされています。ただしエビデンスの信頼性は低いという評価でした。その他の全死亡、心不全、2型糖尿病、高血圧症、結腸直腸癌に関してはエビデンスの信頼性は非常に低いと評価されています[5]。

おすすめするならダークチョコレート、量は食べ過ぎには注意!

結論としては、チョコレートは健康によさそうです。しかし、いくら食べてもよいものでもありません。患者さんに伝えるときには注意しましょう。基本的にはチョコレートの種類や量が大切です。

摂取するならカカオ成分の多いダークチョコレートがおすすめ

チョコレートの種類にはダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートなどいくつかあります。チョコレートの効果で大切なのはフラバノールが多いことです。よって、カカオ成分の多いダークチョコレートがよいでしょう。

健康によい食品はいくら食べてもよいというわけではない

ある食品が健康によいと報告されると、たくさん食べてもよいと考える方もいますので注意が必要です。チョコレートには糖質や脂質が多く含まれるため、食べ過ぎれば血糖値の上昇、脂質異常症の悪化、肥満の助長を引き起こすことがあります。

薬物治療や習慣的な運動などができていることが大前提

高血圧症や糖尿病などの疾患がある患者様に対して、薬物療法よりチョコレートの摂取をすすめるのはやめましょう。あくまでもチョコレートは食品であり、薬ではありません。適切な治療を受けて、習慣的な運動や食事が大切であることを伝えましょう。

間食の効果はあなどれない

2型糖尿病の患者様では、間食はすすめられないことが多いです。しかし間食には、栄養素の補給という面と満足感を得るという面があるといわれています。ストレス解消や疲労回復、満足感を得るケースで食べる方もいるでしょう。

普段はスナック菓子を食べる方も、間食を禁止することが難しい場合は、ダークチョコレートに変更し15g程度の摂取を提案することもひとつの手段です。1日の摂取エネルギー量が消費エネルギー量を超えないように指導しましょう。定期的な採血で、血糖値や中性脂肪の値が悪くならないことを確認してくださいね。
チョコレートは健康によさそうだけど食べ過ぎには要注意!
この記事では、チョコレートの健康への影響に関して解説しました。よい効果があっても、食べ過ぎて血糖値などが悪化する可能性もあります。栄養学は、非常に難しいとあらためて感じました。

バレンタインのプレゼントは、チョコレート以外でもよいと思います。花束などのプレゼントで相手に愛情を伝え、健康に気をつかうことが重要ですね。Happy Valentine!

執筆:舞浜太郎

[1] Katz DL et al. Cocoa and chocolate in human health and disease. Antinoxid Redox Signal. 2011, 15, 2779-2811.
[2] Buitrago-Lopez A et al. Chocolate consumption and cardiometabolic disorders: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2011, 343, d4388.
[3] Rostami A et al. High-cocoa polyphenol-rich chocolate improves blood pressure in patients with diabetes and hypertension. ARYA Atheroscler. 2015, 11, 21-29.
[4] Arbelaez EO et al. Influence of habitual chocolate consumption over the Mini-Mental State Examination in Spanish older adults. Nutr Hosp. 2017, 34, 841-846.
[5] Morze j et al. Chocolate and risk of chronic disease: a systematic review and dose-response meta-analysis. Eur J Nutr. 2020, 59, 389-397.